「訓練直後のお風呂って最高ね」
お風呂上り後に夕食の時間まで本でも読もうと思った直後、部屋のドアがノックされる。
「お嬢様~、お夕飯の準備が整いましたよぉ~」
「ありがとう、ナナ。今いくわ」
私は早歩きで食堂へと向かった。そこにはお母さまとお兄さまがいるものの、お父さまがいなかった。
「あれ、お父さまがいらっしゃらないようですが?」
「まだ執務室かもしれないね」
「でしたら、私が旦那様を呼んでまいりますぅ」
「まって、ナナ。私がいくわ。丁度、お父さまに用事があるのよ」
「承知いたしました。お嬢様」
実は用事と言うほどの事ではない。執務室にも本棚があるのだ。最近チェックしていなかった事を思い出し、新しい本が本棚に格納されていないかチェックする口実に都合がよかっただけ。
ククク、本の虫マルグリットの抜き打ち検査がは~じま~るよ~。私は執務室のドアをノックしてお父さまがいることを確認する。
「お父さま、マルグリットです」
「マルグリットか、入っておいで」
「失礼いたしますわ。あら、お父さま…… 頭を抱えられているようですが、何かありましたか?」
お父さまはため息を突きながら、手に持っていた書類を眺めている。
「うん、実はガルガダに教会建設の話があってね」
「教会ですか……?」
「あぁ、大分前から申請は上がってきていたんだがな、諸々の事情で先延ばしになっていたんだ。それがようやく最近目処がたってね。あとは許可を出すだけなんだけど……」
諸所の事情って何かしら? 聞いたところで答えてはくれなそうだし、聞いたら聞いたで厄介事の匂いしかしないから聞くのはやめとこ。でもおかしいな…… ガルガダってたしか教会があったはずだけど。
「あれ? 既にガルカダには教会が建ってましたよね?」
「いや、聖王教の方ではなくヴェルキオラ教の方だ」
「揉め事が起きそうな組み合わせですね」
「そうなんだが、ヴェルキオラ教の出資で孤児院も併設してくれるというので無下にはできんのだよ」
――ヴェルキオラ教会と聖王教会
この大陸には大きく二つの教会が存在している。それがヴェルキオラ教会と聖王教会。
信者数の比率的には八対二と言ったところだろうか。
お風呂上り後に夕食の時間まで本でも読もうと思った直後、部屋のドアがノックされる。
「お嬢様~、お夕飯の準備が整いましたよぉ~」
「ありがとう、ナナ。今いくわ」
私は早歩きで食堂へと向かった。そこにはお母さまとお兄さまがいるものの、お父さまがいなかった。
「あれ、お父さまがいらっしゃらないようですが?」
「まだ執務室かもしれないね」
「でしたら、私が旦那様を呼んでまいりますぅ」
「まって、ナナ。私がいくわ。丁度、お父さまに用事があるのよ」
「承知いたしました。お嬢様」
実は用事と言うほどの事ではない。執務室にも本棚があるのだ。最近チェックしていなかった事を思い出し、新しい本が本棚に格納されていないかチェックする口実に都合がよかっただけ。
ククク、本の虫マルグリットの抜き打ち検査がは~じま~るよ~。私は執務室のドアをノックしてお父さまがいることを確認する。
「お父さま、マルグリットです」
「マルグリットか、入っておいで」
「失礼いたしますわ。あら、お父さま…… 頭を抱えられているようですが、何かありましたか?」
お父さまはため息を突きながら、手に持っていた書類を眺めている。
「うん、実はガルガダに教会建設の話があってね」
「教会ですか……?」
「あぁ、大分前から申請は上がってきていたんだがな、諸々の事情で先延ばしになっていたんだ。それがようやく最近目処がたってね。あとは許可を出すだけなんだけど……」
諸所の事情って何かしら? 聞いたところで答えてはくれなそうだし、聞いたら聞いたで厄介事の匂いしかしないから聞くのはやめとこ。でもおかしいな…… ガルガダってたしか教会があったはずだけど。
「あれ? 既にガルカダには教会が建ってましたよね?」
「いや、聖王教の方ではなくヴェルキオラ教の方だ」
「揉め事が起きそうな組み合わせですね」
「そうなんだが、ヴェルキオラ教の出資で孤児院も併設してくれるというので無下にはできんのだよ」
――ヴェルキオラ教会と聖王教会
この大陸には大きく二つの教会が存在している。それがヴェルキオラ教会と聖王教会。
信者数の比率的には八対二と言ったところだろうか。