高ランク…… BランクかAランクの魔獣が人間に擬態しているのでは? 後で私たちを美味しく頂く気なのでは? とさえ思ってしまう。
 
「脳筋幼女!」
 
 どうせ今でも後でもこの幼女に擬態した魔獣(?)に食べられてしまうかもしれない。
 
 そう考えたらどうでも良くなってきて、ついついヤケクソになって言ってしまった。
 
「最後にいいものが見れたわ」

 チェスカも私と同じ気持ちなのだろうか。半分ヤケクソになっているように聞こえる。 
 
「『当たらなければどうという事はない!』ですわよ」

 彼女は曲芸師の様に軽々とオークの迫りくる腕から回避して飛び上がると、その勢いでオークを蹴り飛ばしていた。
 
 待って…… 人間より大きいオークがあんな飛び方するってある? これから先の人生、何を見ても驚かない気がしてきた。
 
「今の感触だと首の骨もポッキリいってるでしょうから、解体するならどうぞ。オークの素材は私には不要なのであなたたちの自由にして構いませんよ」
 
「めちゃくちゃ強っ、本当に人間? 人間の皮を被った高ランク魔獣とかじゃないよね?」

 オークが一瞬で倒されて可笑しくなってしまった。緊張感が抜けたせいか、つい先ほど心の中で思っていたことをつい発言してしまった。
 
 が、彼女は対して気にも留めていなかったようだ。良かった……。
 
「えー、勿体ないよ! それに君が倒したのだから所有権は君にあるんだよ。私たちは何もできなかったしね」

 チェスカはもういつも通りである。羨ましい。こういう時のチェスカの性格は本当に何より羨ましく感じる。
 
「構いません。その代わりと言っては何ですが、少しお話を聞かせてもらってもよろしいですか?」
 
 本当に? 私たちを食べるんじゃなくて話だけで済むの? それならいくらでもさせて頂きます!
 
 それから私は彼女がまだ六歳であること、父親が元冒険者であること、二年後に登録するであろうギルドに関する事などの話をして盛り上がった。
 
 彼女が帰るというので一緒に帰ろうかと思ったが、どうやら彼女が住んでいる場所は別にあるらしい。
 
 近場の街がガルカダだからてっきり同じ街に住んでるものかと思ったので、登録前にギルドでも案内しようと思ったのだが、まあ仕方ない。