私はなりふり構わずオークに切りかかっていったが、こん棒を持つ逆の腕で受け止められてしまった。
 
 ぬっ、抜けない。オークは構わず腕を振るとその勢いで私はチェスカの場所まで飛ばされてしまった。
 
 ダメだ、勝てない。死ぬしかない…… 私は死を悟ったが……
 
 やっぱり死にたくない。まだ死ねない。
 
 だって、これから美味しいものをたくさん食べて
 
 オシャレな服を買って
 
 可愛いアクセサリーを身に着けて
 
 カッコイイ彼氏と出会ってデートして素敵な夜を過ごすまで死ぬに死ねない!
 
 そんな考えとは関係なくオークはどんどん近づいてくる

「「ひええええええ、お助けえええええええええ」」

 私たちは本能的に叫んでしまった。我ながら情けない悲鳴だとは思ってる。
 
 傍から見ていれば笑える悲鳴かもしれない。
 
 しかし、こっちはそれどころじゃない。もう助かれば何でもいいです。マジで!

「私たちは美味しくないから~~~~~」

 チェスカも覚悟を決めたのだろうが、やっぱり最後の相手がオークは嫌なんだろうな。可能な限り叫び続ける。

「豚に犯されるなんて嫌すぎるうううううう」

 冒険者の先輩からオークは異種族も関係なしに交尾すると聞いたことがあった。
 
 私の初めてはいつかできる彼氏の為にとっておきたいのだ!
 
 最初で最後の相手が豚とか本当に死んでも死に切れん。
 
 だが、無情にもオークは目の前まで迫っていた。
 
 その時だった、私は見てしまった。
 
 私たちとオークの間に突如割って入ってきたその存在を……。