「最後にいいものが見れたわ」

 いえ、助けに入ったのだから死ぬ気満々でいられても私が困ります。

「ブヒィ――――!」

 武器を片手で受け止められようが、握りつぶされようが、オークの闘志は燃え尽きてはいなかった。
 
 私に一矢報いてやろうと考えているのか、両腕で私を掴もうとしていた。
 
「『当たらなければどうという事はない!』ですわよ」

 書籍の引用するくらいの余裕を見せつつ、オークの迫りくる両腕を跳躍して回避する。
 
 そのままの勢いでオークの側頭部に蹴りを入れると、オークは蹴りの勢いで身体ごと吹っ飛んで行った。
 
「今の感触だと首の骨もポッキリいってるでしょうから、解体するならどうぞ。オークの素材は私には不要なのであなたたちの自由にして構いませんよ」

 女性二人はまるで時が止まったように目を見開いて、口をぽっかり開けて私の事を見ていた。
 
「めちゃくちゃ強っ、本当に人間? 人間の皮を被った高ランク魔獣とかじゃないよね?」

 散々な言いようである。まあ、魔獣扱いされるのは慣れてるからいいです……。
 
「えー、勿体ないよ! それに君が倒したのだから所有権は君にあるんだよ。私たちは何もできなかったしね」

 正直言うと私はオーク程度の素材で小銭を稼ぐことは特に考えていなかっただけ。
 
 今回も国外追放されたと仮定して、お金を稼いでおく事ももちろん重要だと考えてるんだけど、今分かってる限りだと無事に国外に出れるかが最も大きな壁だから強くなることが何より最優先。
 
 それに強くなればよりランクの高い魔獣を狩れるようになるから必然的に買取料金も上がっていくからそっちの方が最終的に稼げる金額は大きいと思う。

 せめてCランクからよね。前回の私はCランクなんて無理だったし、DランクとCランクが一つの壁みたいなものだから価格も一気に上がるんじゃないかと思ってる。
 
 それに彼女たちに素材を譲るのにも理由はある。
 
「構いません。その代わりと言っては何ですが、少しお話を聞かせてもらってもよろしいですか?」

 そう、このアリリアス大森林で現役の冒険者をやっている彼女らに話を聞いてみたいのだ。