思った以上にやっかいな相手ね。振り出しかな…… いえ、前回と同じであれば八歳になれば本体がグラヴェロット領に現れるはず。
 
 そこまでお預けかしらね。
 
「そう、ならもういいわ。私は『赤狼の牙』は壊滅させるつもりなの。
 つまりあなたにどんな事情があったとしても生きてこの森から出られることはない」
 
「舐めるなよ、ガキィ」

 男は背中に隠し持っていたであろうナイフを投げつけてくる。
 
 私がそのナイフを避けると同時に男は壁に立てかけてあった剣を抜いて私に切りかかってくる。
 
「遅すぎる」

 私は剣を躱しつつ懐に飛び込み魔力を込めた拳を男の腹部に思いっきり打ち込んだ。
 
 腹部には穴が開き、反対側がくっきり見えていた。男は最後の言葉も残せないまま倒れた。
 
「ふぅ、終わったはいいけど結局の成果も得られなかったわね。赤服もここには当分来ないだろうし…… 
 前回はここでの誘拐の結果は私がいない以上、防げていないって考えると今回の八歳の時にちゃんと来てくれるのかしら?」
 
 私は一抹の不安を覚えながらも森を後にした。
 
 そして、私は戻った後で結局起きれなくてナナのお説教を沢山頂くことを今はまだ知らない。