三点目、仮にお嬢様が気に入らないにしても何でここまで憎悪の目を向けられてるんだ。いや、憎悪というよりも殺意か。特に殺意むき出しなのが殿下とお供四人なんだよね。そこまで殺したくなるくらい何かがあったとはとても思えない。理由は分からないけど今はフィルミーヌ様をお守りしなければ。
 
 このままじゃ埒があかないので私が殿下とフィルミーヌ様の間に割り込んでみるか。
 
「お待ちください、殿下。 フィルミーヌ様の仰る通り、わたくし達には身に覚えのない話に御座います。一度情報の出所と信憑性の再確認、当日のわたくしたちの行動と照らし合わせての再精査をお願いしたく存じます。」
 
「貴様の言う事が最も信用ならんぞ! 番犬が!」
 
 あれー? これもう聞く耳もたないってやつですね。私は情報の再整理をしろって言ってんのに言い訳してるわけじゃないんだから信用も何もないでしょーが。しかも最も信用できないって…… 結構傷つくぞ。
 
「それともうひとつ。 クララ嬢の為の断罪という事は理解いたしましたが、クララ嬢の肩を抱いていい理由にはならないと思われます。それとも、その様なご関係であると考えても差支えないのでしょうか?」
 
「ふん、目ざとい犬め。 だが、まあいい。 教えてやろう、貴様の言うとりフィルミーヌとの婚約破棄後、クララ嬢と婚約する」
 
 クララ嬢が下を向いていたと思ったら、殿下の発言によりあまりに驚いた表情をして殿下の方を向けている。まさかとは思ったけど殿下の単独とは……。 小鹿ちゃんが”聞いてないよー”って表情してるんだけども?
 小鹿ちゃんに公務がこなせるとも思えないし、王妃教育どうするつもりなの? これはヤバい未来しか見えないんですけど。この国の未来は大丈夫かな……。
 
「いつまでも認めないつもりか! 無理矢理にでも認めさせてやる! 行け!」
 
「「はっ!」」
 
 やせいの殿下のお供その一、その二があらわれた。