そんな!謝るのは私の方なのに! でも…… 私にしかできない…… 出来るんでしょうか……?




『はい、そしてそれは今が好機なのです。彼らの目を誤魔化すにも』




 彼ら……? 彼らとは誰の事ですか?




『あなたたちを殺したもの……そして、わたしたちの敵』





 私たちを殺した……

 私の奥の何かがざわつく……




『マルグリット、ダメ。怒りや憎しみだけでは彼らには勝てない。負の感情は彼らの得意とするところ。
 彼らに飲み込まれてしまう。あなたを邪魔した者たちの様に。
 でもあなたにはもっと大切な、大きなものがあったはず。
 
 思い出して。何故、あなたは騎士を志したのか』




 私が…… 騎士を志した理由…… 
 
 それは……守りたい人がいたから…… 
 
 あなたを守りたかったから!




『そう、あなたの彼女を守りたいと願う心、彼女を慈しむ心、愛する心。

 すなわち正の感情、それがあなたの最大の武器。それを忘れないで』




 私の……武器……




『時間が迫っています。私はそろそろ行かねばなりません』




 待ってください!私を置いていかないで!




『大丈夫、またいずれ会えます』




 そんな!嫌です。私も連れて行って!




『目覚めの時です。マルグリット』




 待って!フィルミーヌ様ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ




◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「フィルミーヌ様ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…… あ?」




 ん? ここはどこ? ベッドに寝てたの私……




 え? ベッド? 生きてる? 何で? 周りを見渡してみたところ、見覚えのある部屋…… 




 あれ? 実家? なんでここにいるの? 私……