「いえ、女神様に祈りを捧げていましたからお気になさらず。では、行きましょうか」

「どこにですか?」

「すぐ目の前にありますよ」
 
 そう言うと司教様は講壇にある窪みに身に着けていたペンダントを嵌めると講壇は勝手に動き出し、元の場所には地下への階段が現れました。
 
 司教様について行くように階段を降りると、そこには部屋がありました。
 
 部屋の中は荒れているというか、散らかっているだけでした。
 
「すみません、書類とか片付けてもすぐ溜まってしまうので、結局そのままにしてしまう事が多くて……」

 意外でした。見た感じ綺麗好きな印象だったから。それに言い訳してる表情が可愛らしくて…… って私は何を考えてるんでしょうか。
 
 それにしても、こんな場所で私の復讐を手伝う事を信じさせると仰ってましたが、いったい何を……。
 
「えっと、ここで何をするのでしょうか?」

「これを見てください」

 と言って彼が棚から取り出したモノは黒い玉の様な物が沢山入っている手のひらサイズの瓶でした。
 
「これは何でしょうか? 飴玉の様な? もしかして、薬でしょうか?」

「そうです。これは教団で秘密裏に開発されていた薬です。服用すると一時的にですが、人間の能力を大きく上回る力を手に入れる事ができます」

 なるほど、理解出来ました。私に薬の人体実験をさせつつ、効果が出ればその力を使って復讐すればいいという事でしょう。でも、もし効果が出なかったら……?
 
実験動物(モルモット)になれということですよね? 効果が出なかったらそのまま死ぬという事でしょうか?」
 
「まあまあ、落ち着いてください。効き目を見る為の人体実験の段階はほぼ終わっていて、今はその次の段階――戦闘試験になります」
 
「戦闘試験? でも私はただの村娘で戦いの経験なんてないのですけど……」

「そちらの方が好都合なんですよ。戦いの経験が無い方がどれだけの人間を相手にどれだけ戦えるのかサンプルデータが必要なのは確かなのですから。でも、それ以上に『共犯者』が欲しいんです。裏切らない私の味方になってくれる人がね」

「貴方ほどの地位にある人であれば幾らでも集まるのではありませんか? 私みたいな役に立つかもわからない人間をわざわざ選ぶなんて……」