「では私からお聞きしましょうか? それは『復讐』ですね?」

 口から心臓が飛び出てしまうんじゃないかと思うくらいに驚いてしまいました。まるで心を読まれてるんじゃないかって思うほどでした。
 
「どうしてそう思われるんですか?」

「目を見ればわかります。貴方の目は覚悟を決めた人間の目をしている。自分の手を汚す事も死ぬ事も辞さないの覚悟をね」

 目か…… そんな事気にも留めてませんでした。他者に簡単にバレる程、私の心は荒んでいたのかもしれません。
 
 だからもうここでほぼ諦めました。きっと私は通報されて領主に引き渡されて処刑されるのだと。
 
「だったらどうしますか? 私を衛兵に引き渡して領主への点数稼ぎでもしますか?」
 
 開き直って悪態をつく私にそれでも尚、アンドレイ司教様は慈愛の表情を私に向けてくれたんです。
 
「いいえ、私はこう言いましたよ『私達は助けを求めている方達に対して無下にしたりはしません』とね。貴方の復讐…… 私も微力ながらお手伝いさせてください」

 私は頭の中が真っ白になりました。聖職者が復讐に手を貸す? そこは止めるべきでしょう? 正気で言ってるのか理解に苦しみました。
 
「貴方は一体何を考えているのですか?」

「そうですね、こんな事を言っても貴方も私の言っていることを信じるのは難しいでしょうから…… 深夜、ちょうど日を跨ぐ辺りの時間帯に礼拝堂に来てもらえますか? そこで改めて説明しましょう」
 
「わ、わかりました……」
 
 正直言ってこの人が何を考えてるのか皆目見当がつかない。もし騙すのだとしたら、わざわざ説明などせずに私の知らない所で動いて罠に嵌めればいいのにそれをしない…… 本当に? 私の復讐を手伝ってくれるの?
 
 今の私には一人で復讐を行うだけの力は無い。もし本当に復讐の手伝いをして貰えるなら対価はなんでも払うつもりでした。と言っても私には穢れた身体しか残っていませんでしたから対価に見合うとも思っていません。
 
 または犯罪の片棒でも担がされるのかもしれない…… それでも私には悩む程、余裕がある訳でもありませんでしたから司教様の提案に乗る選択肢しかありませんでした。
 
 それから夜になり、指定の時間帯に礼拝堂に行くと司教様は祈りを捧げていました。
 
「司教様、お待たせして申し訳ありません」