ヴェルキオラ教……
もちろん知ってはいます。村に教会はありませんでしたが、私の村にも信者はいましたから。
大陸最大の宗教であり、国として体を成す程に巨大な組織。ですが、私自身は信者でも何でもありません。
神に祈った程度で作物が育つなら苦労はしませんし、土地のやせ細った寒村だと特に作物を選ばなければなりませんから他を気にしている余裕もありませんでした。
それに、教会ってどうしても領主を始めとする貴族から寄付と称して多額のお金を貰って、楽な生活をしてるんじゃないの? なんて勘ぐったりして良い印象はなかったんです。
だからこの時も「この人は金銭と引き換えに領民の情報を売る為に領主とつながってるんじゃないか…… だとすると私の敵かもしれない。迂闊な事は言えない」なんて警戒していました。
アンドレイ司教様も私が警戒している事に気付いたのか、苦笑いしながらこう言ってくれたんです。
「ご安心ください。教会に来られたという事は神に助けを求めているという事。私達は助けを求めている方達に対して無下にしたりはしません。悩みや困りごとがあるのでしたら何時でもお聞きしますよ。一人で抱えるより誰かに話す事で心が軽くなったりしますから遠慮しないでください」
「ありがとうございます。私の方も身の回りで色々あり過ぎたせいか、まだ心の整理が出来ていないと言いますか…… 少々お時間を頂きたいのです」
「わかりました。落ち着いてからで構いませんので、それまではここで養生されると良いでしょう。私は一旦外しますね」
そう言うとアンドレイ司教様は部屋から出ていきました。
良かった…… これで数日は時間が稼げそう。その間にここから逃げるか、逆に情報を引き出すか考えないと。
それから数日間を教会で過ごし、体調も回復して少し落ち着いてきたのですが、結局どのように切り出すか考えは纏まりませんでした。
するとアンドレイ司教様から切り出してきたんです。
「目を覚まされてからの数日間、貴方を見ていましたが、まだ悩まれているようですね。整理が出来ていないというよりは口にし難いから躊躇しているのではありませんか?」
「そ、それは……」
どうしよう、反論できない。「領主と幼馴染一家に復讐したいです」なんてとてもじゃないけど、私の口からは言えない。
もちろん知ってはいます。村に教会はありませんでしたが、私の村にも信者はいましたから。
大陸最大の宗教であり、国として体を成す程に巨大な組織。ですが、私自身は信者でも何でもありません。
神に祈った程度で作物が育つなら苦労はしませんし、土地のやせ細った寒村だと特に作物を選ばなければなりませんから他を気にしている余裕もありませんでした。
それに、教会ってどうしても領主を始めとする貴族から寄付と称して多額のお金を貰って、楽な生活をしてるんじゃないの? なんて勘ぐったりして良い印象はなかったんです。
だからこの時も「この人は金銭と引き換えに領民の情報を売る為に領主とつながってるんじゃないか…… だとすると私の敵かもしれない。迂闊な事は言えない」なんて警戒していました。
アンドレイ司教様も私が警戒している事に気付いたのか、苦笑いしながらこう言ってくれたんです。
「ご安心ください。教会に来られたという事は神に助けを求めているという事。私達は助けを求めている方達に対して無下にしたりはしません。悩みや困りごとがあるのでしたら何時でもお聞きしますよ。一人で抱えるより誰かに話す事で心が軽くなったりしますから遠慮しないでください」
「ありがとうございます。私の方も身の回りで色々あり過ぎたせいか、まだ心の整理が出来ていないと言いますか…… 少々お時間を頂きたいのです」
「わかりました。落ち着いてからで構いませんので、それまではここで養生されると良いでしょう。私は一旦外しますね」
そう言うとアンドレイ司教様は部屋から出ていきました。
良かった…… これで数日は時間が稼げそう。その間にここから逃げるか、逆に情報を引き出すか考えないと。
それから数日間を教会で過ごし、体調も回復して少し落ち着いてきたのですが、結局どのように切り出すか考えは纏まりませんでした。
するとアンドレイ司教様から切り出してきたんです。
「目を覚まされてからの数日間、貴方を見ていましたが、まだ悩まれているようですね。整理が出来ていないというよりは口にし難いから躊躇しているのではありませんか?」
「そ、それは……」
どうしよう、反論できない。「領主と幼馴染一家に復讐したいです」なんてとてもじゃないけど、私の口からは言えない。