あ! そうだわ、いいこと考え着いちゃった。けどその前にクララを寝かせてあげないと……
 
 それからペトラの案内でクララの部屋に通して貰い、彼女をベッドに寝かせた。
 
「ペトラ、一つお願いがあります。今日クララさんがこのような状態になってしまったので看病したいのですが、何かあった時にすぐに駆けつけられるように隣のお部屋を借りて泊まらせて頂きたいのだけれどよろしいかしら?」
 
「ですが…… いえ、わかりました。すぐにご用意致しますので、準備するために今しばらくお待ちください」
 
「わかりました。ありがとう」

 私はペトラがお部屋の準備をしてくれている間にクララの傍に付きっきりで容体の確認をしていた。
 
 そしていつもの時間に迎えが来ると、メリッサが居たので彼女に簡単に状況の共有と今日コンテスティ邸に泊まる旨を伝えた。
 
「お嬢様、危険ではありませんか? 私も一緒にお供させて頂けませんか?」

「いいえ、それだと相手に余計な警戒をさせることになるわ。恐らく向こうから接触してくると思うから、こちらは無防備な状態で待ち構えておく必要があるのよ」

「奥様の大切なお嬢様を危険な目に会わせてしまったら、私は奥様に顔向けができません」

「こうしましょう。私がピンチになるようなことがあれば屋敷を出て、宿に救援を呼びに行くわ。それならいいでしょう?」

 メリッサが難しい顔をしている。けどここは納得して引いてもらわないと困るの。決着を着けるにはもってこいのタイミングだもの。

 私はわざとらしくキラキラした目でメリッサにお願いをしてみると、メリッサは諦めたのか納得してくれた。
 
「わかりました。でも本当の本当に危険になったら絶対無理だけはしないでくださいね。魔術の家庭教師を一撃で葬るかもしれない相手なのですから」

「もう一つお願いがあるの。私の着替えを急ぎで持ってきてくれないかしら」

 メリッサも言ってたようにペトラが直接的に犯行に及んだとした場合、相応の手練れである事が伺える。
 
 こちらもすぐに戦闘可能な様に万全の用意はしておかないといけない。要するに慣れ親しんだ服でないと戦いにくいと言うだけの話なだけなんだけどね。

 メリッサは宿に戻った後に私の服を持って来てくれた。