クララに応接室へと通して貰い、今後の魔力制御訓練に対する方針について話をすることにした。
 
「それでは、これからの魔力制御訓練についてなんですが…… ってクララさん、どうしました?」

 クララは浮かない表情をしている。出迎えてくれた時は明るい表情をしていたのに、屋敷に入ってからはこの調子だ。
 
「あの…… 使用人たちの態度について謝罪させてください」
 
 確かにちょっと露骨だったけど、今の状況を鑑みたら仕方がない部分はあるのかもしれない。
 
 それでもクララが訓練を経て問題ない事さえ分かればきっと使用人たちも理解してくれるはずと思ってる。
 
「いえ、構いませんわ。クララさんの訓練が上手く行きさえすれば、使用人の方達もきっと考えを改めてくれますわ。頑張りましょうね」

「は、はい。訓練前に少しお茶を飲んでからは如何でしょうか? ペトラ、お願いします」

「畏まりました。お嬢様」

 ペトラ――クララの侍女だと思うのだけれど、彼女だけは他の使用人たちと違ってクララを避けるような態度は一切取っていない。
 
 この屋敷で唯一心が許せる相手なのでしょうね。彼女と会話している時だけクララは楽しそう。
 
 私たちはお茶を飲みながら気を紛らわそうと書籍関連の話も交えていたのだけれど、クララの熱が上がってきてしまったので訓練どころではなくなってしまうと思い、話を打ち切って訓練するために屋敷から少し離れた広い場所に移動することにした。
 
 今この場にいるのは私とクララに加えて離れた所にペトラが立っているくらい。
 
 私の事はクララから事前に魔力制御をするための家庭教師くらいは聞いているだろうと思い、ペトラ本人とは直接話はしていないが向こうもこちらの事を聞いて来ないし問題ないでしょう。
 
「ねえ、クララさん。今貴方がどれだけ魔力制御出来るのか見たいのだけれど、過去の家庭教師から習った事を交えて見せてくれるかしら?」

「は、はいっ! えっと、魔力は魂から抽出して使用する分だけを身体に取り込みます。その取り込んだ分を攻撃や回復として利用するために身体の外に放出するか、身体強化を始めとする身体内部用で利用するかの大きく二パターンに分かれます」