やっぱりナナにだけは魔法の事を言ってしまうか悩んでしまう…… いつかナナにだけは打ち明けたいとは思っているけど…… 今回ばっかりはクララに専念しないといけないんだ。ごめんね、ナナ。
 
「ナナ、クララ嬢に起きた事の概要は話したわよね? 彼女は今精神面が不安定な状態なの。彼女にとって見知らぬ人間が大勢で押し掛ける事で精神的な負担を掛ける訳にはいかないの」
 
 ナナはぷくーっと頬っぺたを膨らませて剥れているが、クララ嬢の背景を知っているからか諦めてくれたようだった。
 
「ムムム、はぁー…… 事情は私も分かっています。今回は大人しくしておきます」

 何でだろう…… 途轍もない罪悪感が押し寄せてくる。
 
 今回の事が終わったら沢山ナナを可愛がってあげないとね。
 
 ちなみにヘンリエッタは私達二人のやり取りを満面の笑みで聞きながら、時折鼻血を出しながらバレないようにササっと拭いているが私にはバレバレだ。
 
「ヨシ、準備が出来たら行きましょうか」

 私達は準備をして用意してもらった馬車に乗り込んでコンテスティ邸に向かった。
 
 コンテスティ邸の門番とはヘンリエッタに話をしてもらい呼んでもらっている。
 
 少しして外にいたヘンリエッタから「クララ様がいらっしゃいました」と告げられてから馬車を降りると、そこには満面の笑みのクララがいた。その隣にはクララの専属メイドらしき女性もいた。
 
「お待ちしておりました、マルグリット様」

「御機嫌よう、クララさん。本日はお邪魔させて頂きますね」

「ヘンリエッタ、それでは夕方頃に迎えに来ていただけますか?」

 私はヘンリエッタにそれだけ告げると「承知いたしました」と言葉少なげに馬車に乗り込み行ってしまった。
 
 絶対アイツは私とクララのやり取りを見始めると止まらなくなるから断念して早々に切り上げたのだろうと邪推する。
 
「マルグリット様、こちらへどうぞ」

 私はクララに導かれるように屋敷の中を進んでいく。
 
 すれ違う使用人たちは言葉少なく私とクララに頭は下げるもののササっといなくなってしまう。
 
 なるほど、極力関わらない様にしたいという私の嫌いな空気がプンプンする。
 
 この中からクララを罠に嵌めてくれた人物を探し出さないと。