ムム、どうやら嘘は無さそうだけど…… これ程の逸材が何故ウチなんか(失礼)にいるのかしらという最もな疑問はあるけども、敵ではないと分かった以上メリッサの身の上は一旦置いておくとしましょう。

「分かりました。あなたを信じます。それで、私の魔力に関する情報はどこから手に入れたのかしら?」

 メリッサは立ち上がり、いつものメイドスタイルに戻して姿勢を正していた。
 
「はい、実は私『魔力視』(マジックスキャン)が使えます。お嬢様が五歳の時に起こされた高熱から目を覚ました時に違和感があった為、拝見させて頂きました」

 あー、そういうことね。まさかウチの使用人に『魔力視』(マジックスキャン)の使い手がいるとは思わなかった。
 
 努力だけではどうにもならない魔法領域。それを身につけるには『才能』(センス)が必要と言われている。
 
 『魔力視』(マジックスキャン)はその代表格。
 
 私には使えないんだあああああ。う、羨ましすぎる……。
 
 しかし、私には魔法ではないのだけれども人の気配を察知したり、魔力が集中する場所、撃たれるタイミングなどは本能的に察知する事が出来る。
 
 私がかつて『犬』呼ばわりされていたのはそういった本能で理解する獣じみた行動故というのもあるのかもしれない。
 
 ハハハ、自分で言ってて悲しくなってくるわ。
 
 メリッサは察してくれたのか『お気を確かに』なんて慰めようとするが、そんなん余計に惨めになるだけだし!
 
「まあいいわ。今はまだ推測段階でしかないけどもクララ嬢の魔力暴走は()()()()()()()引き起こされた可能性が高いわね」

 メリッサも同意見の様でコクっと無言で頷く。
 
「それが分かればやる事は決まってるわ。準備が完了次第すぐに出立します。メリッサはナナに準備をするように伝えて頂戴。護衛には――ヘンリエッタでいいから声をかけて来て頂戴」

「畏まりました」

 メリッサは敬礼をすると一瞬でいなくなっていた。敬礼って『昔どこかに仕えていたでしょ』と聞きそうになったけど既にいないから置いておこう。