「マルミーヌちゃん、チェスカ、カモン。少年はちとそこで待機よ」

 三者会談の開始である。三人は頷いて肩を組んで円陣を組み始めた。
 
『さて、どうしましょう?』
『マルミーヌちゃんが倒したって言って信じる?というか言わない方が良くない?』
『そうだね。万が一、街に戻った後に広められてもやっかいでしょ。ていうかマルミーヌちゃんも隠したいでしょ?』
『はい…… 私の痕跡は消したいです』
『了解。じゃあ、少年にはグランドホーンは逃げたって事にしておこう』
『拾った角に関してはどうしますか?』
『逃げてる最中に木にぶつかって角が欠けたってことにすればいいんじゃない?彼は角さえあればいいんだし、深く追及もしないでしょ』

 方針が決まったため、円陣を解いて少年にルーシィが説明をすると、半信半疑の様子ではあったが角が手に入るという事で最早グランドホーンがどうなったかなど興味を失ったようだった。
 
 四人は常闇の森を出て、途中でマルグリットが別れることになった。
 
「私はここから別方向になりますので、ここでお別れになります。チェスカさん、後の事はお願いします。あと、少年…… マーク君だっけ?」

「は、はい」

「私が元々常闇の森に向かった理由は貴方のお姉さんからから依頼されたからなの。帰った後でしっかりと謝るのよ」

 少年は角の事ばかりを気にして姉の存在をすっかり忘れていた。マルグリットに指摘されて顔が青ざめている。
 
 その様子を見てマルグリットは『ククク、散々怒られるといいわ』と本日一番の満面の笑みを浮かべていた。

「マルミーヌちゃん、こっちの事はまかせておいて」
 
「マルミーヌちゃん、ありがとうね。また会いましょう」

 マルグリットが去っていくのを見届けてルーシィがチェスカに疑惑を目を向けているが、いつかきっと話をしてくれると信じて今は聞くのをやめた。
 
 チェスカもルーシィ視線に気付いていたが、何も聞かない事に対して、全てを話すわけにはいかないが、何かしら話はしなければとは考えているようだ。
 
 そして三人はガルガダに向かって帰還していった。
 
 
 
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 

 
 
 その日の夜。ガルガダのとある酒場の端のテーブルで一人の男性が酒を飲んでいた。
 
 そこに一人のフードを被った女性が現れた。