「凛のお願いなら、すべてを投げうってでも聞く覚悟だと言っただろう? 武士に二言はないさ」
「ありがとうございます!」
凛のサラサラの髪を撫でながら伊吹が優しく微笑むと、凛は涙ぐんで喜ぶ。よっぽど深く望んでいたのだろう。
「ただ申し訳ないが、仕事先は俺に任せてくれないか? できるだけ危険が少ない場所がいいだろう」
自由に選ばせてやりたいが、凛の正体を考えるとさすがにそれは危険極まりない。
「はい、私を受け入れてくれる場所でしたら、どこでも構いません。伊吹さん、ありがとうございます!」
嬉々とした面持ちの凛。
彼女にとって勤務先はさして重要なポイントではなかったようで、伊吹は安堵した。
*
伊吹から労働の許可を得た後、畳に並べた二組の布団に入り、部屋の明かりを消す。
伊吹の大きな手のひらが凛の布団の中に入ってきて、凛の手のひらをぎゅっと握りしめてきた。
「……伊吹さん?」
すぐ隣の布団に入っている伊吹の方に首を向けると、慈愛に満ちた微笑みを浮かべている。
「働けると素直に喜ぶ凛がとてもかわいくてな。つい、触れたくなってしまった。……嫌か?」
凛は勢いよく首を横に振る。
「い、嫌だなんてとんでもありません。伊吹さんの手、すごく温かいです」
ひと回り以上大きな手に包み込まれる感覚は、深い安心感を凛にもたらした。
「そうか、よかった。本当は抱擁したいところだが、さすがにこの状況ではいろいろ抑えきれなくなりそうだからなあ」
伊吹が悪戯っぽく笑う。
確かに、手のひらの温もりだけでも十分すぎるくらいなのに、もしここで抱きしめられたりでもしたら。
「ありがとうございます!」
凛のサラサラの髪を撫でながら伊吹が優しく微笑むと、凛は涙ぐんで喜ぶ。よっぽど深く望んでいたのだろう。
「ただ申し訳ないが、仕事先は俺に任せてくれないか? できるだけ危険が少ない場所がいいだろう」
自由に選ばせてやりたいが、凛の正体を考えるとさすがにそれは危険極まりない。
「はい、私を受け入れてくれる場所でしたら、どこでも構いません。伊吹さん、ありがとうございます!」
嬉々とした面持ちの凛。
彼女にとって勤務先はさして重要なポイントではなかったようで、伊吹は安堵した。
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伊吹から労働の許可を得た後、畳に並べた二組の布団に入り、部屋の明かりを消す。
伊吹の大きな手のひらが凛の布団の中に入ってきて、凛の手のひらをぎゅっと握りしめてきた。
「……伊吹さん?」
すぐ隣の布団に入っている伊吹の方に首を向けると、慈愛に満ちた微笑みを浮かべている。
「働けると素直に喜ぶ凛がとてもかわいくてな。つい、触れたくなってしまった。……嫌か?」
凛は勢いよく首を横に振る。
「い、嫌だなんてとんでもありません。伊吹さんの手、すごく温かいです」
ひと回り以上大きな手に包み込まれる感覚は、深い安心感を凛にもたらした。
「そうか、よかった。本当は抱擁したいところだが、さすがにこの状況ではいろいろ抑えきれなくなりそうだからなあ」
伊吹が悪戯っぽく笑う。
確かに、手のひらの温もりだけでも十分すぎるくらいなのに、もしここで抱きしめられたりでもしたら。



