翌朝、夜宵と朝食を終えた文月は自室に戻ると、早速勉強を始めることにした。

──あの夢のことは、なるべく気にしないようにしましょう……。

昨夜見た謎の夢のことは、単なる夢として考えないことにした。

「では、本日は妖力と異能の勉強をしましょう」
「よろしくね」
「「はい!」」



妖力。それは、あやかしのみが使える力。
あやかしによって強さや能力は異なるが、強力なものであることに変わりなはい。

それとは対象的に、異能は人間のみが使える力。
異能も人によって強さや能力は異なるものの、近年では異能は衰退していっている。

「あやかしの方は、力が増していると聞いたことがあるわ」
「そうですね。現に、旦那様は歴代当主の中でも強い方だと言われています」
「ですが、文月様も異能をお持ちですよ」
「え……?」

文月はそんなはずはない、と首を横に振る。

異能など持っていない。発現したことすらない。

仮に異能が出たとして、自分になにが出来るのだろう。

「いいえ。お持ちのはずです。まだ、文月様自身はお気づきでないようですが」
「とても強力であり、美しく、素晴らしいお力だと()えます」

彼女たちには、一体なにが視えているのだろう。
もしかすると、夜宵にも視えているのだろうか。

──夕食の時に、お聞きしようかしら。