大きな泣き声が、部屋に響く。
「それが?」
男の低い声に、使用人達は怯え、深く頭を下げた。
それ、と指した目線の先には泣き叫ぶ赤子がいた。
「は、はいっ! 今しがた生まれたばかりの赤子でございます」
赤子を抱くひとりの女性が、震え声で話す。
「…………」
男は赤子の顔を見る。
男に気づいたのか、赤子は泣き止むと、男の方じ、と見る。
赤子の瞳は、男と同じ金色の美しい瞳を輝かせていた。
「……いいだろう。生かしといてやる。ただし、俺の前には見せるなよ。使用人はひとりしか許さん」
男は冷たく言うと、その場から去っていった。