リビングの扉を開いたその人に、「風斗くんは?」と慌てて訊ねると、

「大丈夫だ。必死に作業を頑張っているからな。飲み物を貰ってくると言ってある」

「用意します!」

 不信に思われないよう、急いでコップと麦茶を用意する。
 マオはリビングの扉を閉め、

「まだ憶測の範囲なんだろ? 今後を決めるにしても、ちゃんと確定させておいたほうがいい。俺と茉優ならどちらにも顔がバレていないから、探りやすいしな」

「……こんなことまでお願いしてしまって、よろしいのですか?」

「はい、相談事を受けるのも、私達の仕事ですから。……明日はぜひ、風斗くんと一緒にいてあげてください」

「っ!」

 沙雪さんが二階へと視線を巡らせる。
 小さい声で「風斗……」と呟くと、硬く目をつぶり、深々と頭を下げた。

「どうか、よろしくお願いします」