(お父さんのこと、あまり好きじゃないのかな?)

 私はマオと軽く視線を交わしてから、

「風斗くんはなにが好きなんですか?」

「ぼくはねー、カレーがすき!」

「カレー……。なら、キーマカレーにしちゃいましょうか」

「カレーにできるの?」

「はい。出来あがるまで、もうちょっと遊んでてくださいね」

「うん!」

 嬉し気に「ほら! おにいちゃん次やって!」とパズルに向かいだした風斗くんに、ほっと安堵を覚えながらハンバーグを取り出す。

(気になることはあるけれど、まずはご飯だよね)

 山盛りの中から半分ほどを頂いて、綺麗な楕円にごめんさいと胸中で謝りながら、ボールに入れてフォークで潰していく。

 それをフライパンにうつして、料理酒と、ダイス状にカットしたトマト。
 それから風斗くんの気にならない程度に、チューブのショウガとニンニクを少しだけ。

 戸棚にあった甘口のカレールーをひと欠け細かく刻んで加えたら、ルーが全体に馴染むまで焦がさないように炒めて。
 具材の頭が出る程度の水とコンソメを加えて少し煮込んだら、最後にカレールーを数個追加。

 ふつふつするまで弱火で軽く煮込めば、リメイクキーマカレーの出来上がり。
 付け合わせはレタスとシーチキンのサラダと、お野菜たっぷりのコンソメスープ。
 子供でも食べやすいように、人参、キャベツ、ジャガイモに玉ねぎは細かく刻んで、とろっと柔らかくなるまで煮込んだ。

「キーマカレーに目玉焼きを乗せたい人はいますか?」

「お、いいな! 俺は貰ってもいいか?」

「え、じゃあぼくも! ぼくものせてみる!」

「わかりました」

(もしかしたら風斗くんは、目玉焼き乗せるのはじめてかな?)

 卵を三個落としたフライパンに水を入れて蓋をして、その隙に平皿にホカホカご飯を盛り付けていく。
 スパイスの香りが食欲をそそるキーマカレーと、半熟の目玉焼きを乗せて。

「出来ましたよー! 手を洗ってきてください」

 二人が手を洗っている間に大方の洗い物を終えて、私も席につく。マオは風斗くんの隣だ。
 そろって「いただきます」と手を合わせ、風斗くんがどきどきとした表情で口に運ぶのを見守る。

「! ほんとにカレーになってる! おいしい!」

「お口に合ったようで、よかったです。マオさんは……」