「……こりゃ、コボルトとは訳が違うな」

どうやったら敵うというのだろう。

俺は、舌を噛んで考えを巡らせるが、芳しい案は浮かばない。

冒険者ギルドにおける危険度ランクはA、手練れのものでも一人では敵わないとされる相手だ。

「ひ、ひぃ! なんじゃ、こんな大蛇、長年生きてきたが初めて見たわいっ」
「け、剣士さん!」

恐れて、身を縮こめ合う村人たち。挙句に、子供は大声をあげて泣き出してしまう。

どうすればいい……!?

俺は速くなる胸の鼓動を感じながら、考えを巡らせる。

村人たちを守らなければならないのは、まず第一に当然のことだ。

それに俺とて、ここで死ぬわけにはいかない。
どうせなら、アクド―らを見返してやる、立派な土地にしてやる、とそんな意志でここまで来たのだ。

だが、諦めたくない重いと良策が思いつくかどうかは別問題だった。

とにかく時間を作るため、ひとまず大蛇の攻撃を防ぐ。

そのとき、頭の中にそれは流れ込んできた。

『スキル【古代召喚】を利用できます。領主就任特典のため、0ポイントで召喚可』との一文だ。

……訳がわからなかった。

これまで、全く使えなかったくせに、今になって、どうして。
だが、おちおち考察している暇も、くよくよ外れスキルだったことを恨んでいる暇も、もちろんない。

「なんとでもなりやがれ! スキル発動、古代召喚!」