(……テンマでどうしているだろうか。ふっ、ディルックならうまくやっていそうだな)
 もし謀反の話が無実だったならば。
 よっぽどアクドーに代わって、側近を務めてほしいところだった。
 けれど、もう呼び戻さないことも、ゲーテ王は固く心に決めていた。
 仕方のない理由があったとはいえ彼を左遷したのは、他ならぬ自分である。だったら今さら呼び戻すなんていうのは、勝手な行為だろう。
 側近でも友でもあったディルックを、これ以上翻弄したくはなかった。
 王はくいっと酒をあおり、彼のことを偲ぶ。

 そのディルックが、想像以上の開拓成果を上げていることが王に届くのは、まだ先の話だ。