俺の横では、「ん~っ!」とシンディーが目を細める。

「本当ですか、よかったぁ! これはですね……」

 アリスが生き生きと語り出すのを聞きながらも、フォークを運ぶ手が止まらなくなる。

 まず口にしたのは、猪肉の塩麹焼きだった。

 麹という、謎の調味料を使ったらしいが……。

 その効果か、猪肉はほろほろと口の中で崩れ、旨味だけを溶かし出す。生臭さなどはまるでなく、むしろ香りに浸りたくなるほどだ。

 王城の宴で口にしてきたどんな料理と比べても、最も美味い。

 どれも珍しいものばかりだと言うのに、全ての皿がことごとく大当たりだった。

 そればかりか、身体の端々まで力がみなぎってくる。

 一人前分をすぐに食べ終えてしまってから、ふと思う。
 そういえば、なんのスキルが手に入ったのだろうか。

 ふと、ステータスを確認してみて驚いた。

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【古代召喚】
四千年前の古代を生きた者の魂を実体とともに、現代に復活召喚させ、従わせる。
 また、そのスキルと同等の能力を得る。

(利用可能能力)
・龍の神力 レベル3/5
・錬金術 レベル3/5
・調味自在 レベル1/5……この能力により作り出したシーズニングで味付けをした料理を食べた場合、体内の魔力量が増え、その出力が3割強化される。また、使用シーズニングに応じてさまざまな魔法攻撃への耐性がつく。

 領主ポイント 0/2000

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 力が溢れてくるという感覚は、気のせいではなかったのだ。
 本当に、魔力の量が増えていたらしい。しかも、食べるだけで魔法への耐性がつくときた。

「ちなみに、この塩麹の猪はなんの耐性がつくんだ?」
「風属性に耐えられるようになります……。鶏出汁に混ぜた辛み油は、えっと、火属性に強くなれます、はい」