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「こんなにお水飲んでいいのか、父ちゃん?!」
「あぁ、いいさ。その代わり、ディルック様にきちんと感謝するのだよ」
数日ののち、テンマ村に流れてくる湧水は十分な量へと変化していた。
俺は、水を好きなだけ飲む子どもを見て、思わず微笑みを浮かべる。
湧水は潤沢に溢れて、もはや余るほどだった。
とはいえ、せっかくの貴重な資源。
ただ垂れ流してはもったいないので、ドワーフらに頼み、古井戸に貯める仕組みを作ってもらった。
もちろん井戸も、シンディーに頼んで改築を施した新しいものだ。
長く村に住む老人によると、井戸に貯水ができるほど余裕ができたのは、数十年ぶりのことだったらしい。
感極まった表情で、
「あなた様は、私どもに命をもたらしてくだすった。なんと、ありがたい……!」
しっかりと俺の手を握ってきた。
これだけ喜んでくれれば、山に入った甲斐があると言うものだ。
たかが水だが、されど水である。
畑作業だけでなく、生活にも必須の要因だ。この分でいけば、大幅な生活の改善につながりそうだった。
他方、山へと連れて行ったクマベア族たちも、その意識が変わったらしい。
「俺たち、いっそう強くなります! 努力、努力だぜ! 領主様に信頼してもらえる兵になろうぞ!」
「「おぉ!」」
より強くと、鍛錬に励むようになった。
生活レベル、防衛力の向上。それらの成果が、実を結んだらしい。
「おぉっ、ディル様! ついにポイントがお貯まりになられたのですね」
「うん、ちょうど1000ポイント。うん、結構早く溜まったな」
次なる【古代召喚】を発動できるようになった。
「それだけディル様が成果をあげられているということですよ! さっそく、やるのです?」
「うん、そのつもりだよ。どんな、なにが出るかは分からないけど、それも楽しみだ」
もし白龍の時のごとく、大きな生物が出てしまっては騒動を起こしかねない。
村の視察を終えた俺は、シンディーとともに集落の外れまで足を運ぶ。
願うのは、農業系スキルを持つものの召喚だ。
水の確保には成功したが、いまだ畑は弱々しく、発展の途上にある。より効率のいい栽培方法などがあれば、ぜひ力を借りたいところだった。
「スキル発動、古代召喚!」
ポイントを消費して、スキルを発動する。