「同行がてら、戦闘訓練までしてもらえるとは……! 腕が鳴るぜ!」
「おう。たぎってくるなぁ、クマベアの血がよ!」
より鍛えるという意味でも、いい実践の場になると思ったのだ。
彼らのレベルアップは、それつまり、村の防衛力向上につながるはずだ。
外れスキルを賜ったせい、騎士団に加わることこそできなかった俺だが、戦術などは一通り実家で叩き込まれてあった。
仲間相手に、その指導を惜しむほど、俺はケチな人間ではない。
隊をなして、険しい道を登っていく。
といって、もはや道はないに等しかった。
人の侵入を阻まんとしているかのごとく、木々は鬱蒼と茂り、地面は起伏が激しい。
その途中でやっと開けた場所を見つけて、俺は隊を止めた。
「どうしたんです、領主様。沢の源流はまだ先ですぜ?」
「わかってるよ。どうせ山に入るんだ。ついでだから、猪を捕獲する仕掛けでも設置しておこうと思ってね」
このために、白龍を召喚せずに山へとはいったのだ。
「みなさん。よければ、手伝ってもらってもいいかな」
「おぉ、さすがだ。目的をいくつも同時にやろうとするとは。頭が切れる人だ……! もちろんです、光栄なくらいだ!」
クマベア族の快諾を受けて、俺が背中に負っていた鞄から取り出したのは、四隅に重りのついた網だ。
シンディーとともに、錬金で作り出したものである。
それらを獣人たちにも手伝ってもらい、あたりの地面に広げて、葉で覆い隠す。