「もう、あのような輩に負けないよう、しばらく訓練を積みたいと思っております」

とは、クマベア族の族長であるクマリン。

唸り声をあげながら、剛毛が逞しく生えた上腕二頭筋を、くいっと盛り上がらせてみせる。

不意をつかれさえしなければ、あの人攫いたちに負けるような力量ではない。

少なくとも、俺の目にはそう映っていた。

その姿を見て怯える村人(とくに子どもたち)もいたが、そこはおいおいだろう。

「大丈夫だよ、彼らは味方さ。同じく辛酸を舐めさせられてきた同類なんだ」
「……危なくないの?」
「そうだね、きっとそうさ」

少なくとも、一緒に捕まっていた者は、彼らが安全であることを知っている。

深すぎる溝はない。
ならば一緒に過ごす時間が増えることで、きっと慣れてくれるだろう。

とすれば、早急にどうにかすべき問題は、この荒んだ畑の方だ。