「もし夜までかかるようなら、俺たちが見張っててやるぜ! あの賊には卑怯な手を使われ、不覚にも捕われたが……少しは腕も立つのさ」

と言うのは、熊のような耳を頭に生やしたクマベア族。

低く唸るとともに、力拳を作ってみせる。たしかに、筋肉隆々かつ剛毛で、頼りになりそうだ。

「でも、あんな風に捕まってて疲れてないですか?」
「領主様。あんたが助けてくれたときに、そんなもの全て吹き飛んださ! それより俺は、あんたの力になりてぇんだ」

いい仲間に恵まれたものだ。
なんとかうまくいくかもしれない。気分よくそう思っていた矢先、

「ディルさまぁ。なんで、わたくしもできるのに、というか本領発揮すべき場所なのに、なんで……」

シンディーだけが露骨に落ち込んでいた。

肩を落として、まるで霊かのようにどろーんと髪の後ろに顔を隠す。

「シンディーに、無理してほしくないからだって。それに、あぁいうのはみんなで作る方が団結力も上がるだろ」
「……そうですけど。じゃあ、わたくしにもなにか任務をくださいな!」
「んー。なら、一緒に街へ行こうか。まだ少しやりたいことがあるんだ」

ぱぁっと表情が晴れあがる、ほんとに!? ほんとに、ほんとですか! と声が上ずっていく。

行きます!!! との答えは、挙手とともにすぐに返って来た。