いずれにしても、これで詳細な場所も分かった。

俺はさっそくシンディーとともに、海を目指すことにする。

「ねぇディル様。今は、真っ昼間ですけど、どうやって洞窟まで行くんです?」

腕を後ろ手に組んで、ひょこっとこちらを覗き込むシンディーの疑問は、もっともだ。
けれど俺だって、なんの考えもなしに動いているわけではない。

村と十分な距離を取ってから、俺はそこで【古代召喚】を使用する。
魔力を相当量消費するが、仕方ない。

呼び出したのは、雲よりも白い鱗を全身に纏った白龍だった。本当にポイント消費なしに呼び出すことができて、ほっとする。

「思ったより吾輩の出番が早かったのう、主人よ」
「あぁ、ちょっとね。本当ちょっとしたことだ」
「ふん、どんな雑用でもかまわんさ。主人に尽くせるのなら」

雄大に翼をはためかせると、それだけで風が巻き起こる。シンディーが、「きゃっ」と短い前髪を抑えていた。

こんな仕草まで、徹底されている。

「おぉ、シンディーを召喚しておったか。有能だろう、彼女は」
「あら! ディルさまの前で褒めてくれるなんて、ありがたいですね。もっともっと褒めてくださいな、白龍」

4000年前から来たもの同士、シンディーと白龍は顔見知りだったらしい。
少し三人で話を交わしてから、俺は白龍に事情を伝える。

「ふむ、この盆地から海辺の洞窟までか。吾輩に任せるがよい。主人らを運ぶくらい、簡単なことだ」

すぐに翼を下ろして、俺たちをその背に乗せてくれた。

飛ぶことなどもちろん初めてだったが、白龍の背中は安定していたので、快適な飛行時間だった。

むしろ、そのまま海を渡れそうなくらいだったが、それはまた別の機に取っておく。