力みは剣を鈍らせ、怒りは太刀筋を狂わせる。ふぅっと息を整えると、

「な、なんだ、この圧……!」

それだけで、彼らは一歩後ろへと引き下がった。腰も引けて、完全にへっぴり腰のものもいる。

……ん? こいつら、なにしてるんだろう?
そう思ってから、蘇ってきたのは昨日の記憶だ。

俺の魔力は今、白龍と同等レベルのものがあるのだっけ。どうやら身体に秘めた魔力が、剣圧になって彼らを怯えさせているらしい。
だが、油断は禁物だ。

卑劣な行為に平気で手を染める輩。なにをしてくるか分からない。
気を取り直してもう一度、敵の集団を睨みつけると、

「「ひ、ひぃっ!! こ、こえぇ!! ただもんじゃありませんぜ!!」」

副隊長を名乗っていた男以外、全員が尻餅をついた。
そこまで怖がられるとは思いもよらなかったが、なんにせよ。一体多数だったはずが、刃も交えていないのに、一対一だ。

「く、くそぉ。よ、よくもやってくれたな! ワシの子分たちを!」

いや、なんにもやってないのだけどね? ただ、勝手に怯えられただけだ。