「おい、そこのお前! なに余裕で立ってやがるんダァ?」
「ふっはは、怖くねぇのかぁ? 俺様たちゃ、泣く子も黙って奴隷にしちまう人攫い集団だぜぇ。ワシはその副隊長! かなーーーり強いぞぉ?」

数としては、10人ほど。村人たちよりは少ないが、威張りかたからして、腕っぷしには自信があるらしい。

それに、よほど儲けているのだろう。それぞれ装備していた剣や弓、槍なども、なかなか立派なものである。

「愚かなやつだ。やめとけっての。ワシは今でこそこうだが、貴族の血引いてんだ。魔法技だって使えるんだぜェ?」

それも貴族崩れの輩がいるときた。
魔法を使えるものとそうでないものの力の差は歴然である。

これでは、村人が逃げだすのも無理はない。

だが俺が領主となった以上は、たとえ数的不利が明らかだろうと、野放しにはできない。
剣をゆったりと抜き、正段に構えた。