「シャァァァッ!!!!」

サーバントは、龍にあしらわれたせい、ご立腹らしかった。

息を荒げて牙を剥いてくるが、もう怖くはない。
身体の内側から魔力があふれてくる感覚が、そうさせる。

魔法を使えなかった身としては感慨深いが、浸っている場合ではないのは明白だ。

「ラベロ流・星影斬り!」

俺はサーバントの動きを読み、隙を得たところで、蛇の腹へ一太刀を振り下ろす。

次の攻撃に備えようと、足首の力だけで身体を捻り、すぐに方向を転換するが…………

それで、終わりだった。

首と胴体に分かれ一刀両断された蛇が地面へと落ちて、焦げる。

……もはや、即死だったらしい。

「な、吾輩のいう通りであったろ? 主人よ」

龍がそう言ったのち、

「すごすぎる、なんなんだこの剣士様は! あの強そうな魔物を討伐したうえに、なんぞ、大きな生き物を手懐けておる!?」
「ありがとうございます、ありがとうございます!!!」

村人たちからは歓声があがる。

先ほど泣いていた子供も今は泣き止み、俺の方へと笑顔を見せていた。

なにが起きたのか、さっぱり頭がついていかなかった。
分かるのは、とにかく窮地を凌いだということだけだ。