やいの、やいの、と俺の周囲で二人が騒がしいやりとりを始める。
「……あ、あの。もうご飯できてますから、そろそろ食堂へ。バルクさんたちはもう食べ始めています」
そこへ部屋の外から、控えめに声がした。
みれば扉の影に隠れるようにアリスが中をうかがっていた。
こちらにしばらく拠点を置くことになったから、同じ屋敷に住む彼女にもこちらへ来てもらっていたのであった。
そう言われると、芳しい香りがほんのり漂っている。
それに気づいてか、俺たち3人のお腹が同時に鳴った。
「ほら、二人ともそろそろやめろよ。アリスのご飯が冷めたらもったいない」
俺は、二人の肩を軽く叩いてこう言う。
「……そなたの言うとおり。では一度、食事といたしましょうか」
アポロはそれで納得してくれて、一旦騒ぎは収まったのであった。