「ユカナサン、ボクモウヤバイデス」
 背中越しになんだかおかしな口調で言われ、
「あ、それじゃあ……」
 ローションを垂らして擦りつけていた胸を相手の背中から上げて、浴室のアクリルの椅子に座っている男の前方にまわる。
「どうぞ」
 跪いて豊かな乳房を寄せて持ち上げ、絶妙に隙間を開けながら突き出す。

「いや、それは……」
 中村は頬を引きつらせて由香奈の白い胸を凝視する。自分がローションプレイをしたいと言って由香奈をホテルに連れ込んだくせに、彼はしり込みしてばかりだ。さっきもマットを出そうとして「そんなプロっぽいことは遠慮する」と止められた。いったい何がしたかったのだろう。

「それは開けちゃいけない禁断の扉な気がする。お断りする」
 ぐっと唾を呑んでお断りされ、由香奈は目をぱちぱちする。まあ、色々な人がいるからな。
「それより攻守交替」
 由香奈の脇の下に手をかけ持ち上げて、横向きに膝の上に座らせる。

「んっ……」
 すかさず乱暴にくちびるを奪われて由香奈は息をもらす。びくりと丸めた背中を支えながら、もう片方の手がなだらかなおなかを滑り降りる。
「ヤバいよね、これ」
 くちびるを啄みながら囁かれてぞわりと肌が波打つ。
「あ……」

 指の動きがスムーズすぎる。どこまでも進んで行ってしまいそうな感覚。
「や……、ん……」
 足をじたばたさせて由香奈は腰を揺らす。余計に刺激が体中に広がる。

「由香奈ちゃん、力抜いて」
 知らずに力んで足を震わせていたみたいだ。
「でも……」
「風呂場だから、ここ」
 ちゅっとキスを繰り返されて由香奈のからだが緩む。とたんに中から何かが押し寄せて、身の内に広がる心地よさに由香奈は意識を持っていかれそうになる。

「こんな由香奈ちゃん初めて見た。いつも我慢してた?」
 恥ずかしくて悶えそうになりながら由香奈は目を伏せた。
「そんなこと……」

 さっきの鈍い絶頂でまだ重い体を持ち上げて、由香奈はボディソープで自分と中村の体を洗い流した。
「満足ですか?」
「もうちょっとしたい」

 ベッドに移動して、中村は由香奈を抱きしめたまま横になった。
「ダメ……また……」
「うん。いいよ」
 いいよって言われても。由香奈は口元を手で押さえて精一杯あらがう。