「可愛いんだよ、陶護って。昔っからどんだけいじめても泣きながらついてくんの。それが面白くて尚更いじめちゃうんだけどさ」
傍にあったパイプ椅子を引き寄せて、またがるように座った薫先生。
「で、さっき目が覚めたばっかりなんだって? 体調はどう?」
「あ、はい。大丈夫です。他のみんなは……?」
「全員瘴気に当てられてくたばってるけど、今日明日一日しっかり眠ればころっと元気になるよ」
よかった、と息を吐く。
最後に見たのは、みんなの苦しげな表情だったから安心だ。
「来光から文鳥が届いて迎えに行ってみたら、全員ホームルーム教室の前で気絶して積み重なって倒れてるし」
「教室の前……? いいえ、薫先生違います! 私たち、おかしな所に迷い込んでしまったんです。何百本の鳥居があって、おびただしい量の護符が貼られていて、瘴気が立ち込めた場所なんです。学校にあんな場所があるなんて……あれはどこなんですか?」
それを聞いた途端、薫先生はすっと目を細めた。
「巫寿はどこだと思う?」
え? と目を瞬かせた。