その後、眠そうにし始めた蘭丸と菊丸は、玄信たちが連れて帰ることになった。
「五百年ほど生きているとはいっても、やっぱりまだまだ子どもだな」
「五百年!?」
聖がなにげなく零した言葉に驚くと、彼が目を小さく見開いた。
「ああ、言っていなかったな。龍というのは人間よりも年を取るのが遅いんだ」
「そうなんです……あ、えっと、そうなの?」
わざわざ言い直す凜花に、聖がクスッと笑う。
「俺は人間で言うと、二十代前半くらいに見えるだろう? だが、実際には二千年以上は生きている」
「にっ……!」
「桜火はもう少し若いが、俺とそう大差はない。玄信に至っては、四千年ほど生きているはずだぞ。人間の十五年が、龍の千年というところだろう」
龍というのは、見た目と年齢が比例しないらしい。
ただ、凜花の思考の範疇を超えた話に、頭がついていかなかった。
「龍は、一番力が強い時期に外見の成長が止まる。俺や玄信の場合は今がそうだ。蘭丸たちはまだいつになるのかわからないが、桜火は近いうちにそうなるだろう」
こうして話していると、玄信や桜火、蘭丸と菊丸の龍の姿は見たことがなくても、自分とは違うのだと思い知る。
「その後は緩やかに年老いていき、五千年ほどで急激に力が弱まって永遠の眠りに就くのだ」
「そんなに生きるなんて……」
人間の寿命は、せいぜい百年もない。龍の寿命はその五十倍と考えると、気が遠くなりそうだった。
そもそも、龍神である聖のつがいであっても、凜花は人間である。平均寿命まで生きられたとしても、彼にとっては数年程度に感じるのではないだろうか。
「心配しなくていい。俺と契りを交わせば、凜花の寿命は俺とともに過ぎていく」
まだつがいになるかもわからないのに不安を抱くと、聖が優しい笑みを浮かべた。
「どういうこと……?」
「つがいの契りというのは不思議な力があるんだ。龍と番った人間は、その龍とともに一生を終える。ふたりで共に眠りに就くのだ」
そんなことがありえるのだろうか、と凜花は首を傾げた。
しかし、もしそれが本当ならば、〝死〟というものに対する恐怖心はなくなるかもしれない。
それでも、まだ彼のつがいになることは考えられなかったけれど。
「五百年ほど生きているとはいっても、やっぱりまだまだ子どもだな」
「五百年!?」
聖がなにげなく零した言葉に驚くと、彼が目を小さく見開いた。
「ああ、言っていなかったな。龍というのは人間よりも年を取るのが遅いんだ」
「そうなんです……あ、えっと、そうなの?」
わざわざ言い直す凜花に、聖がクスッと笑う。
「俺は人間で言うと、二十代前半くらいに見えるだろう? だが、実際には二千年以上は生きている」
「にっ……!」
「桜火はもう少し若いが、俺とそう大差はない。玄信に至っては、四千年ほど生きているはずだぞ。人間の十五年が、龍の千年というところだろう」
龍というのは、見た目と年齢が比例しないらしい。
ただ、凜花の思考の範疇を超えた話に、頭がついていかなかった。
「龍は、一番力が強い時期に外見の成長が止まる。俺や玄信の場合は今がそうだ。蘭丸たちはまだいつになるのかわからないが、桜火は近いうちにそうなるだろう」
こうして話していると、玄信や桜火、蘭丸と菊丸の龍の姿は見たことがなくても、自分とは違うのだと思い知る。
「その後は緩やかに年老いていき、五千年ほどで急激に力が弱まって永遠の眠りに就くのだ」
「そんなに生きるなんて……」
人間の寿命は、せいぜい百年もない。龍の寿命はその五十倍と考えると、気が遠くなりそうだった。
そもそも、龍神である聖のつがいであっても、凜花は人間である。平均寿命まで生きられたとしても、彼にとっては数年程度に感じるのではないだろうか。
「心配しなくていい。俺と契りを交わせば、凜花の寿命は俺とともに過ぎていく」
まだつがいになるかもわからないのに不安を抱くと、聖が優しい笑みを浮かべた。
「どういうこと……?」
「つがいの契りというのは不思議な力があるんだ。龍と番った人間は、その龍とともに一生を終える。ふたりで共に眠りに就くのだ」
そんなことがありえるのだろうか、と凜花は首を傾げた。
しかし、もしそれが本当ならば、〝死〟というものに対する恐怖心はなくなるかもしれない。
それでも、まだ彼のつがいになることは考えられなかったけれど。