「姫様―、お庭に行くです!」
「姫様、菊たちと遊ぶです!」
「お庭にハクの実がなったです!」
「聖様が食べていいって言ってくださったです!」
「姫様も!」
競い合いように話す蘭丸と菊丸を、桜火がたしなめようとする。しかし、凜花がそれを制し、彼女に庭に出てもいいかと尋ねた。
桜火は、いつも通り自分も同行することを条件に頷いてくれた。
庭に出て蘭丸たちについていくと、どこからともなく甘い香りが漂ってきた。スイーツのような甘さではなく、果実のような匂いがする。
後ろにいる彼女が、ハクの実の香りだと教えてくれた。
「姫様、これがハクの実です」
「おいしいです」
蘭丸と菊丸は、待ち切れないとばかりに木に登っていく。
真ん丸で真っ白な実は、りんごのような形をしていた。
「姫様、どうぞです」
「菊たちの一番好きな実です」
自分たちの好物を先に譲ってくれる優しさに心が和む。
少し気が引けたが、凜花が食べるのを待っている様子をふたりを見て「ありがとう」と言って受け取った。
一口かじってみると、果汁がじゅわっと口の中に広がった。柔らかな実は甘く、桃のような味がする。
とてもおいしくて、思わず頬が綻んだ。
「おいしい! 蘭ちゃん、菊ちゃん、ありがとう」
「えへへー」
「菊たちは、姫様の守護龍だから天界のこといっぱい教えるです!」
「聖様にお願いされてるです!」
誇らしげに笑う蘭丸と菊丸に、凜花が小首を傾げる。
「守護龍?」
「お守りするお役目です!」
「菊たち、こう見えて強いです!」
えっへんと言わんばかりに胸を張る菊丸に、蘭丸も得意げな笑顔になる。
「姫様、菊たちと遊ぶです!」
「お庭にハクの実がなったです!」
「聖様が食べていいって言ってくださったです!」
「姫様も!」
競い合いように話す蘭丸と菊丸を、桜火がたしなめようとする。しかし、凜花がそれを制し、彼女に庭に出てもいいかと尋ねた。
桜火は、いつも通り自分も同行することを条件に頷いてくれた。
庭に出て蘭丸たちについていくと、どこからともなく甘い香りが漂ってきた。スイーツのような甘さではなく、果実のような匂いがする。
後ろにいる彼女が、ハクの実の香りだと教えてくれた。
「姫様、これがハクの実です」
「おいしいです」
蘭丸と菊丸は、待ち切れないとばかりに木に登っていく。
真ん丸で真っ白な実は、りんごのような形をしていた。
「姫様、どうぞです」
「菊たちの一番好きな実です」
自分たちの好物を先に譲ってくれる優しさに心が和む。
少し気が引けたが、凜花が食べるのを待っている様子をふたりを見て「ありがとう」と言って受け取った。
一口かじってみると、果汁がじゅわっと口の中に広がった。柔らかな実は甘く、桃のような味がする。
とてもおいしくて、思わず頬が綻んだ。
「おいしい! 蘭ちゃん、菊ちゃん、ありがとう」
「えへへー」
「菊たちは、姫様の守護龍だから天界のこといっぱい教えるです!」
「聖様にお願いされてるです!」
誇らしげに笑う蘭丸と菊丸に、凜花が小首を傾げる。
「守護龍?」
「お守りするお役目です!」
「菊たち、こう見えて強いです!」
えっへんと言わんばかりに胸を張る菊丸に、蘭丸も得意げな笑顔になる。