「千年前に凜もろともこの地を焼いたというのに、いつからか草木が生えて再び花も咲いたなんて……どこまでも忌々しい女だ」
独り言なのか、凜花に話しかけているのか。
大きくなっていく炎の中では呼吸もままならず、凜花は火焔の言葉を聞く余裕もなくなっていく。
「さあ、再びここを火の舞台にしてやろう。聖のつがいを燃やすための炎が舞うぞ」
彼が手を軽く振れば、火はさらに燃え上がる。
「姫様―!」
そこへ桜火の声が響いた。
凜花がいないことに気づいた彼女は、きっと助けに来てくれたに違いない。
しかし、火はより高く上がり、凜花の目では桜火の姿を確認できなかった。
「桜火さん! みんなを早く……!」
「なりません! 我々の命よりも姫様の方が大事なのです!」
彼女の声とともに、地響きのような音が鳴った。
直後、ボンッ!と爆発音が響く。
「あぁっ……!」
「桜火さん!?」
「姫より先に死にたいなら望み通りにしてやろう。お前程度の火なら片手で充分だ」
桜火の悲鳴のような声とともに、反対側からバチバチと音が聞こえてくる。
「やめて! ……ッ、ごほっ……ッ! 約束が違うでしょう!」
「きゃああぁぁっ!」
凜花は咳き込みながらも訴えた瞬間、桜火の悲鳴が上がった。
「やめて! やめてよっ!」
火に囲まれている凜花には、状況が音でしかわからない。
揺らめく炎の隙間から見える彼女たちは、地面に伏すように倒れていた。
「お願いだから……!」
自身も呼吸ができなくなっていく苦しみの中、大切な人たちが傷つけられていくことがもっと苦しい。
ずっと友人が欲しかった。
家族が、愛してくれる人が、欲しかった。
けれど、大切な人たちが自分のせいで傷ついていくことがつらい。
自分になんの力もないことが悔しい。
灼熱地獄のような火の中、凜花の瞳に映るのは怒りに似たような赤色。
華奢な体は、この間よりもずっと大きな炎に包まれていく。
「聖さっ……!」
意識を失いそうだったとき、無意識に口にしていたのは大好きな人の名前だった。
独り言なのか、凜花に話しかけているのか。
大きくなっていく炎の中では呼吸もままならず、凜花は火焔の言葉を聞く余裕もなくなっていく。
「さあ、再びここを火の舞台にしてやろう。聖のつがいを燃やすための炎が舞うぞ」
彼が手を軽く振れば、火はさらに燃え上がる。
「姫様―!」
そこへ桜火の声が響いた。
凜花がいないことに気づいた彼女は、きっと助けに来てくれたに違いない。
しかし、火はより高く上がり、凜花の目では桜火の姿を確認できなかった。
「桜火さん! みんなを早く……!」
「なりません! 我々の命よりも姫様の方が大事なのです!」
彼女の声とともに、地響きのような音が鳴った。
直後、ボンッ!と爆発音が響く。
「あぁっ……!」
「桜火さん!?」
「姫より先に死にたいなら望み通りにしてやろう。お前程度の火なら片手で充分だ」
桜火の悲鳴のような声とともに、反対側からバチバチと音が聞こえてくる。
「やめて! ……ッ、ごほっ……ッ! 約束が違うでしょう!」
「きゃああぁぁっ!」
凜花は咳き込みながらも訴えた瞬間、桜火の悲鳴が上がった。
「やめて! やめてよっ!」
火に囲まれている凜花には、状況が音でしかわからない。
揺らめく炎の隙間から見える彼女たちは、地面に伏すように倒れていた。
「お願いだから……!」
自身も呼吸ができなくなっていく苦しみの中、大切な人たちが傷つけられていくことがもっと苦しい。
ずっと友人が欲しかった。
家族が、愛してくれる人が、欲しかった。
けれど、大切な人たちが自分のせいで傷ついていくことがつらい。
自分になんの力もないことが悔しい。
灼熱地獄のような火の中、凜花の瞳に映るのは怒りに似たような赤色。
華奢な体は、この間よりもずっと大きな炎に包まれていく。
「聖さっ……!」
意識を失いそうだったとき、無意識に口にしていたのは大好きな人の名前だった。