「「本当におめでとう、二人とも」」
明夜と佳衣の言葉に、羚は粗相のないくらいの高さで、頭を下げる。
「ありがとうございます」
「ありがとうございます。お父様、お母様」
佳衣はふふっ、と微笑む。
「衣夜ちゃん、白無垢も綺麗だったけど、赤の色打掛も似合うでしょ?」
披露宴前に、衣夜は白無垢の着物から色打掛に着替えてきた。
それを見た羚は、綺麗で似合いすぎて言葉も出なかった。
「本当に、綺麗です」
羚が微笑んでそう言うと、衣夜は顔を真っ赤にした。
「う、嬉しいです……」
「あら。ふふふっ」
「仲がいいねぇ」
ふと、明夜と佳衣は何かを思い出したような表情をした。
「そういえば……」
「「二人とも、子供はいつごろ?」」
その言葉に、羚と衣夜は同時に目をぱちくりとして、理解をした瞬間に顔が一気に赤く染まった。
「「こ、子供っ!?」」
「それは私も気になるな」
「ち、父上までっ!」
羚の母は、手を頬に当てて柔らかく微笑んだ。
「二人とも仲がいいから、きっとすぐに出来るわ」
「そうねぇ。きっと、二人に似たいい子が生まれるわよ」
ね〜、とお互いの母親が微笑み合う。
──いつの間にそこまで仲良くなったんだ?
羚の母と衣夜の母は、気があったのか、すぐに仲良くなったらしい。
羚と衣夜は、ちらりと見つめ合う。
「い、いや。さ、流石にまだ早い気が……」
「そ、そそそうです。私達にはま、まだ早いですっ」
お互い満更でもない顔をしているので、これはすぐに出来そうだ、と勘づく両家の母。
──こればかりは、兄上にいてほしかった……。
兄は急な仕事が入ったため、式が終わったあとすぐに行ってしまった。
「弟を、よろしくお願いします」
普段の兄からは想像できない言葉に、羚は目を見開いたが、衣夜は笑顔で頷いた。