「あの、不知火さん!」
そんな風に悩んでいると今度は赤翼くんの方から声をかけてくる。私は驚いた声で反応してしまうも、彼はいたって真剣な表情をしている。
「っ!」
その瞬間、夏のものとは思えない涼しげな山風が私たちの間をを吹き抜ける。そんな木漏れ日に照らされた彼の真剣な表情、私より低く柔らかな優しい声、首元から見える汗と少し骨ばった体。今ここで感じ取れる全てに、ほんの少しだけドキッとした。今までこんなことなかったのに。
「僕ずっと不知火さんに言いたいことがあったんだ」
なぜか心を揺さぶられてしまったせいか、その含みのある言葉は別の意味に聞こえてしまう。
先週の件に決まっているのに、否が応でも男の子であることを意識してしまった。妙な昂りが収まらない。
「あ、えっと…えーっと」
「不知火さん、その──」
「わ、わわっ」
あ、ダメだ。今の私、パニックになってる。
「は、早く!」
「え?」
「早く先生たちに追いつかないと!」
私が謝って終わり、それしか考えていなかったので思った展開と違う。気が動転して心にもないことを口にした。いままで赤翼くんに向けていた目線を逸らして、慌てて歩き始めようとした。
しかし、それはよくないことに繋がった。
「あっ!」
足が疲れていたのもあり、グラッとよろけてしまった。不意の転倒、私はこんなことすら気をつけなきゃいけない体なのを思い出した。でも思い出したときには体がグッと倒れ込んでいた。
倒れゆく自分の体を制御出来ず、まるでスローモーションになった世界で目を瞑る。ゆらーっとゆっくり、もう地面にぶつかると思った刹那。
「危ないっ!」
赤翼くんが既の所で体を支えてくれた。トサッという小さな衝撃と、少し筋肉質な感触が体の前側に感じる。
「ぁ…」
また赤翼くんに助けられた。私の秘密を隠してくれたことと、今のこと。思えば助けられてばっかりだ。やっぱり私謝りたい。赤翼くんは大切な友達だからちゃんと。
冷静になれて私の素直な気持ちが心と頭を駆け抜けた。しかしそれはすぐに別のことで塗り替えられてしまった。
そんな風に悩んでいると今度は赤翼くんの方から声をかけてくる。私は驚いた声で反応してしまうも、彼はいたって真剣な表情をしている。
「っ!」
その瞬間、夏のものとは思えない涼しげな山風が私たちの間をを吹き抜ける。そんな木漏れ日に照らされた彼の真剣な表情、私より低く柔らかな優しい声、首元から見える汗と少し骨ばった体。今ここで感じ取れる全てに、ほんの少しだけドキッとした。今までこんなことなかったのに。
「僕ずっと不知火さんに言いたいことがあったんだ」
なぜか心を揺さぶられてしまったせいか、その含みのある言葉は別の意味に聞こえてしまう。
先週の件に決まっているのに、否が応でも男の子であることを意識してしまった。妙な昂りが収まらない。
「あ、えっと…えーっと」
「不知火さん、その──」
「わ、わわっ」
あ、ダメだ。今の私、パニックになってる。
「は、早く!」
「え?」
「早く先生たちに追いつかないと!」
私が謝って終わり、それしか考えていなかったので思った展開と違う。気が動転して心にもないことを口にした。いままで赤翼くんに向けていた目線を逸らして、慌てて歩き始めようとした。
しかし、それはよくないことに繋がった。
「あっ!」
足が疲れていたのもあり、グラッとよろけてしまった。不意の転倒、私はこんなことすら気をつけなきゃいけない体なのを思い出した。でも思い出したときには体がグッと倒れ込んでいた。
倒れゆく自分の体を制御出来ず、まるでスローモーションになった世界で目を瞑る。ゆらーっとゆっくり、もう地面にぶつかると思った刹那。
「危ないっ!」
赤翼くんが既の所で体を支えてくれた。トサッという小さな衝撃と、少し筋肉質な感触が体の前側に感じる。
「ぁ…」
また赤翼くんに助けられた。私の秘密を隠してくれたことと、今のこと。思えば助けられてばっかりだ。やっぱり私謝りたい。赤翼くんは大切な友達だからちゃんと。
冷静になれて私の素直な気持ちが心と頭を駆け抜けた。しかしそれはすぐに別のことで塗り替えられてしまった。