………


「うわ…たくさんあるね」
「…そうね」

 駅前にある少し大きいペットショップに来る。店員さんに案内されて鳥類の餌が置いてあるゾーンに来たものの、その陳列数に驚いた。

「そういえば、あの子について何かわかった?」
「ううん。一応昔の本とか見直したけど、やっぱりお世話に必要な情報はなかった」
「そっか」

 不知火さんの祖先も、未来で自分たちが世話されるとは思ってもみなかったんだろう。詳しい生態や食性なんて残してなくて当然か。

「ね、ねぇ…これ」

 そんな風に思考を巡らせていると、不知火さんが引き攣った声で尋ねてくる。

「虫とか生肉とか…あるんだけど」
「あー、鳥が食べるものだからね。雑食の鳥なら虫を食べるし、フクロウとかの猛禽類なんかは鼠やひよこの生肉を食べるから」
「そ、そうなんだ」

 処理済みの死肉から目線を逸らしながら、強引に納得したようだ。しかしここのペットショップ結構コアなのを扱っている。

「とりあえず全種類買っていこうか」
「えっ!?虫も!?」
「うん。パッと見だけどあの子、あまり大きくならなさそうだし。成鳥が日本の小鳥レベルの大きさなら虫とか食べるんじゃないかな?」
「な、生肉は…」
「昨日、あの子の足の爪を見たけどかなり屈強そうだったんだよね。猛禽類は肉を引き裂きやすいように足がよく発達するし、一応ね」

 とりあえずポイポイと買い物カゴに飼育用のドライされた虫と処理済みの鼠のカット生肉を放り込む。

「く、詳しいね」

 声とともに顔も引き攣らせる不知火さん。

「いやそんなそんな!見た目から適当に推測してるだけだから、照れるって」
「…ごめん、全然褒めてない」
「えぇ?」

 ジト目で言われた。なんかショック。
 そんな問答の後で不知火さんが「あの子はそんなの食べない!」と言ったので、果物と野菜、処理済みの魚などを購入。念の為、鳥用の練り餌も買った。
 あーでもないこーでもないと2人であの子のご飯を考えるのは新鮮で楽しかった。