一ヶ月後、華衣にとって初めての大学の夏休みが始まった。友人は実家に帰るというので、華衣も当然のように実家に帰る準備をした。
春から約三ヶ月、初めての一人暮らしは学業に家事にと華衣には少々キツかった。やっと羽を伸ばしてゆっくりできるとルンルン気分で帰省し、自宅前に着き、インターフォンを押した。
「…………あれ?」
誰も出ない。土曜日の今日、母は買い物に行ってるとしても出不精な父は家にいるはずだと思ったのに。
――二人揃って買い物かな。
しばらく待っていようとスーツケースを脇に置き、実家のフェンスにもたれた。
「あら、華衣ちゃん」
「おばさん、ご無沙汰してます!」
隣の家のおばさんがちょうど出かけるところだったらしく、玄関から出てきた。けれど彼女は華衣を見て、なぜか怪訝な顔をする。
「何か?」
「華衣ちゃん、聞いてないの? もしかして、あんまりお祖母ちゃんとは関わらない子?」
「祖母、ですか?」
「聞いてないのね。華衣ちゃん、あなたのお父さんたちね、お祖母ちゃんが亡くなったからって、昨夜ご実家に帰られたのよ」
「…………はぁ!?」
意味がわからない。普通、身内の死を娘に黙っておくか!? それとも、ただ気が動転して伝え忘れただけなのか。
華衣は後者だと信じ、慌ててスーツケースを握った。
「おばさん、ありがとうございます! お祖母ちゃん家、行ってみます!」
華衣は言いながら、慌てて駅まで向かった。
春から約三ヶ月、初めての一人暮らしは学業に家事にと華衣には少々キツかった。やっと羽を伸ばしてゆっくりできるとルンルン気分で帰省し、自宅前に着き、インターフォンを押した。
「…………あれ?」
誰も出ない。土曜日の今日、母は買い物に行ってるとしても出不精な父は家にいるはずだと思ったのに。
――二人揃って買い物かな。
しばらく待っていようとスーツケースを脇に置き、実家のフェンスにもたれた。
「あら、華衣ちゃん」
「おばさん、ご無沙汰してます!」
隣の家のおばさんがちょうど出かけるところだったらしく、玄関から出てきた。けれど彼女は華衣を見て、なぜか怪訝な顔をする。
「何か?」
「華衣ちゃん、聞いてないの? もしかして、あんまりお祖母ちゃんとは関わらない子?」
「祖母、ですか?」
「聞いてないのね。華衣ちゃん、あなたのお父さんたちね、お祖母ちゃんが亡くなったからって、昨夜ご実家に帰られたのよ」
「…………はぁ!?」
意味がわからない。普通、身内の死を娘に黙っておくか!? それとも、ただ気が動転して伝え忘れただけなのか。
華衣は後者だと信じ、慌ててスーツケースを握った。
「おばさん、ありがとうございます! お祖母ちゃん家、行ってみます!」
華衣は言いながら、慌てて駅まで向かった。