翌日も翌々日も、浬烏は華衣の元を訪れた。千代紙で作った作品は大量になり、テーブルに乗り切らなくなった。浬烏は指を鳴らして桐の箱を出し、その中に作品をしまうようになった。
まるで付き合いたての恋人のように、互いに笑い合う。それだけなのに、華衣はとても満たされていた。不器用な浬烏の優しい顔を見るたびに、華衣の胸は疼いた。
しかし、その翌日。朝食を用意した浬烏は、申し訳なさそうに華衣に告げた。
「今日は眷属の仕事で人の世に下りねばならない」
「そうですか」
華衣は落胆して、落胆したことにぞっとした。こんなにも、自分が浬烏に焦がれているのだと気づいたのだ。
「戻ってきたら、また折り紙を教えてくれるか?」
「もちろんです」
浬烏に優しい笑みに向けられ、華衣は即答した。
「では、また来る。何かあれば、その鈴を鳴らすんだぞ」
「はい」
ぴしゃりと襖戸が閉まる。華衣の顔から、苦笑いが零れた。浬烏の言葉に、こんなにも一喜一憂している。
――こんなはずじゃ、なかったんだけどなぁ。
華衣はテーブルの上の、銀色の鈴を手に取った。持っているだけで、浬烏と繋がっている気がする。なんとなく身に着けていたくて、華衣はそれをジーンズのポケットにそっと忍ばせた。
まるで付き合いたての恋人のように、互いに笑い合う。それだけなのに、華衣はとても満たされていた。不器用な浬烏の優しい顔を見るたびに、華衣の胸は疼いた。
しかし、その翌日。朝食を用意した浬烏は、申し訳なさそうに華衣に告げた。
「今日は眷属の仕事で人の世に下りねばならない」
「そうですか」
華衣は落胆して、落胆したことにぞっとした。こんなにも、自分が浬烏に焦がれているのだと気づいたのだ。
「戻ってきたら、また折り紙を教えてくれるか?」
「もちろんです」
浬烏に優しい笑みに向けられ、華衣は即答した。
「では、また来る。何かあれば、その鈴を鳴らすんだぞ」
「はい」
ぴしゃりと襖戸が閉まる。華衣の顔から、苦笑いが零れた。浬烏の言葉に、こんなにも一喜一憂している。
――こんなはずじゃ、なかったんだけどなぁ。
華衣はテーブルの上の、銀色の鈴を手に取った。持っているだけで、浬烏と繋がっている気がする。なんとなく身に着けていたくて、華衣はそれをジーンズのポケットにそっと忍ばせた。