──季節は巡り巡って、あの日からもうすぐ1年が経とうとしている。
あの鳥居へと続く階段を登り切って、汗を拭う。
「桔梗、今日も咲いてる」
鳥居の側に、見頃を迎えた紫色の星の花。
この花が咲くたびに、11年前、そして去年のことを思い出す。
「桔梗さま、今日もお元気ですか」
今日も鳥居──あやかしの世の方へ向かって話しかける。
手には、何十通もの手紙。
宛先不在で返ってくるたびに手紙を書いていたから、すごい数になってしまった。
どうすれば届くかが分からなくて、今は夕方に鳥居の前に置いて、朝に取りにくる、というのを繰り返している。
まぁ、それも結局届かずじまいだけど。
「桔梗さま、これじゃお返事が大変ですね」
どうやったら、あやかしの世にいけるのかな。
鳥居をくぐっても景色は変わらず、寂れた境内が広がっているだけだった。
また当選者になればいいんだろうか。
桔梗さまには危ないから帰りなさい、と言われるかもしれない。
でも、絶対に会いに行きますからね。
そう誓って立ち上がる。
「すみません、桔梗さま。もう行きますね」
階段を降りて見上げた空は、淡い青色に黄色い絵の具をまぜたみたいな、そんな美しい空だった。
また今度、桔梗さまに手紙で伝えてあげよう。
指で作ったカメラで空を切り取って、ふふっと笑う。
桔梗さまに会うことも、やりとりをすることもできない。
それは悲しくて辛いこと。
だからと言って、下を向いてばかりじゃいけない。前を向かなきゃ。
きっと桔梗さまに会える日が来るから。
それは、針の穴みたいな希望かもしれない。
だけど、その希望を信じるんだ。
絶対に奇跡は起こる。
ううん、わたしが起こす。
だから、待っててね、桔梗さま。
そうやって光を見つめながら、今日も明日も、わたしは生きていく。
あの鳥居へと続く階段を登り切って、汗を拭う。
「桔梗、今日も咲いてる」
鳥居の側に、見頃を迎えた紫色の星の花。
この花が咲くたびに、11年前、そして去年のことを思い出す。
「桔梗さま、今日もお元気ですか」
今日も鳥居──あやかしの世の方へ向かって話しかける。
手には、何十通もの手紙。
宛先不在で返ってくるたびに手紙を書いていたから、すごい数になってしまった。
どうすれば届くかが分からなくて、今は夕方に鳥居の前に置いて、朝に取りにくる、というのを繰り返している。
まぁ、それも結局届かずじまいだけど。
「桔梗さま、これじゃお返事が大変ですね」
どうやったら、あやかしの世にいけるのかな。
鳥居をくぐっても景色は変わらず、寂れた境内が広がっているだけだった。
また当選者になればいいんだろうか。
桔梗さまには危ないから帰りなさい、と言われるかもしれない。
でも、絶対に会いに行きますからね。
そう誓って立ち上がる。
「すみません、桔梗さま。もう行きますね」
階段を降りて見上げた空は、淡い青色に黄色い絵の具をまぜたみたいな、そんな美しい空だった。
また今度、桔梗さまに手紙で伝えてあげよう。
指で作ったカメラで空を切り取って、ふふっと笑う。
桔梗さまに会うことも、やりとりをすることもできない。
それは悲しくて辛いこと。
だからと言って、下を向いてばかりじゃいけない。前を向かなきゃ。
きっと桔梗さまに会える日が来るから。
それは、針の穴みたいな希望かもしれない。
だけど、その希望を信じるんだ。
絶対に奇跡は起こる。
ううん、わたしが起こす。
だから、待っててね、桔梗さま。
そうやって光を見つめながら、今日も明日も、わたしは生きていく。