それなのに、その後僕を待ち受けていたのは、進路指導だった。

夏休みにほぼ一日塾にこもりきりの生活を送ったにも関わらず、返却された二学期最初の学力テストはすさまじく成績を伸ばすことはなかった。
予想していたよりもパッとしない成績に、パッとしない顔をする僕に向けて、先生はパッとしない励ましの言葉を送った。

「夏休みの結果は、これから出てくる。気長に、諦めずに頑張りなさい。まあとりあえず、この一週間は受験を忘れて祭りを楽しみなさい」

__なるほど。気長に、諦めずに。

進路指導室を出て、僕は長いため息を廊下に充満させながら歩いた。
楽しめというなら、なにも文化祭本番前日に進路指導することないじゃないか。
先生も意地悪だ。
そもそも祭りは今日から既に始まっている。
高校最後の祭りぐらい、楽しませてほしい。
打ち込ませてほしい。
こんな時ぐらい、徹底的に忘れさせてほしい、受験のことなんて。
せっかく坂井さんとの思い出で頭がいっぱいになっていたのに。