だけどそんなの、勘違いかもしれない。
女子免疫のない男子が、女子とちょっと目が合ったり話しただけで、「好きかも」なんて思うのはよくあることで、僕にとっても、坂井さんにそんな感情を抱いたのは気のせいだったのかもしれない。

でも気のせいにしては、おかしなことがたくさんある。
例えば、今もそう。
僕は彼女を、今もまだ目で追っている。
彼女を見つけると、気持ちが高ぶって心臓がドクドクとうるさくなる。
話すことができたらその日一日ハッピーだ。
そして彼女がこんなに苦しそうな顔をしていると、僕まで苦しくなってくる。
何もできないくせに、彼女のために、何かしたいと思ってしまう。
あいつに「塾変えろ」と言われようと、同じ塾に通い続けてしまう。

どうしてかって、その理由は一つしかない。

僕は、彼女のことが、好きだから。
まだ、彼女のことが好きだから。
彼女に好きな人がいたとしても。
彼氏がいたとしても。
それが、僕の友達だったとしても。