そんな僕に気づいた女子の一人が、僕を怪訝な目で見てくる。
そして仲間の女子たちとこちらを見てひそひそと話し始める。

__ヤバい。あれは、不審者を見る目だ。

直感的にそう思って逃げ出そうとしたその時、

「あれ? 園田君?」

ちょっと低めの落ち着いた声に呼び止められて、僕は恐る恐る振り向く。

「お疲れー」

そう言って手を振ってくれたのは、学校のマドンナ的存在である岡田さんだった。

「こっち座る?」

その誘いに、僕の気持ちは一気に舞い上がった。

「う、うん」なんて小さく返事をしながら、派手な女子たちの横を通り過ぎる。
冷たい視線がぐさぐさと刺さるような気がするけど、そんなのは気のせいにしてしまえ。
言いたいことはわかってるよ。
岡田さんは他校でも有名な美人だ。
他校の生徒に告白されたという噂も聞いている。
そんな彼女が僕みたいな、ちょっと怪しげな地味系男子に声をかけるなんて、かなりミスマッチだ。
彼女たちの非難の目は甘んじて受けるつもりだ。