たぶん、聞き間違いだ。
また僕をからかってるんだ。
そう思って受け流そうとした時だった。


「坂井さんには、言うなよ」


不意に放たれたあいつの大人びた声に、僕は綿あめに顔をうずめたまま、視線だけをさっとあいつに向けた。