こうして二日間で、僕のたこ焼きスキルは格段に上がった。
もう初心者なんて言わせない。

縁日本番当日、たこ焼きを真剣に焼きながら、目の前から浴びせられる歓声に気分を良くし、習得したばかりのピックさばきでたこ焼きをくるりと回す。
みんなのきらめく視線が僕に集まっていた。
情けないけど、こんな風に人から注目されたことは今までなかった。
学校でさえも。

ただ、チラシに書かれた「祭」という言葉に興味を持ってやってきた外国人のお客さんや、外国人講師の家族もやってきていて、その人たちがものすごい勢いでたこ焼きを指さしながら話しかけてくるのには困った。
僕はたこ焼きを焼く手を止めて、口をぽかんと開けたまま、相手の指が上下するのを目で追うしかなかった。
僕がそんなお客さんに困惑していると、隣でヨーヨー掬いの風船を膨らませるあいつがフォローしてくれる。
英語、中国語、韓国語、ドイツ語……。
浴びせられるすべての言語に対して、淀みなく巧みに返していく。

一体、こいつは何人になってしまったのだろう。

だけどそんなあいつの姿はまぶしい。
目尻をふにゃりと下げた人懐っこい笑顔に、僕は思わず顔をしかめる。

__勝見のくせに。