「あっつっ」
突然、私の手のひらに火花が走った。
焦るあまり、思わず鉄板に触れてしまったらしい。
鉄板で火傷した部分を私が確認しようとすると、それより先に、その手はぐっとつかまれて持っていかれた。
「坂井さんっ、大丈夫っ」
持っていかれた私の手は、その鋭い声の主にまじまじと見つめられていた。
勢いよく私の手を取った代わりに、園田君が握っていたピックがその手をするりとすり抜けて落ちた。
「火傷した?」
その気迫に、返事をするのが遅れる。
「……あ、うん、大丈夫」
そう言い終わる前に、
「岡田さん、保冷剤」
と園田君の鋭い声で指示が飛ぶ。
由美はタコや野菜の入ったクーラーボックスの中から、凍らせたスポーツドリンクのペットボトルを取り出した。
「これでいい?」
「ありがとう」
そう言うと、園田君は自分の首に巻いていたタオルをペットボトルに巻き付けた。
そしてそれを、私の手に押し当てる。
「大丈夫? 痛くない?」
園田君は私の手を取って角度を変えたり、火傷の部分をなぞったりしながら、何度もそう聞いた。
「うん、大丈夫」
そう言っているのに、園田君はいつまでもそうしていた。
とても心配そうな顔で、私の手を見つめている。
優しくなでてくる。
その感触に、指先がひそかに震えていた。