少し照れながら、だけど堂々と言ってのける勝見君は、かっこいい。

「それに、気づかないうちに傷つけてたら嫌だし、傷つけるの、怖いし」

目を伏せて小さな声でそう言った時だけ、勝見君の表情がわずかに曇った。

「俺、ちゃんと彼氏できてるかな?」

勝見君はちょっと困ったような笑顔で、私を見た。
その言葉に、その表情に、胸がぐっと締め付けられて、気づいたら、勝見君のその細い腰に、腕をぐるりと回していた。
ここが学校だってことも、誰かの目も、もう関係なかった。
こんなに大切にされている。
こんなに好きでいてくれる。
そんな勝見君は……

「勝見君は、私の自慢の彼氏だよ」

それしか、言う言葉が見つからない。
私の突発的な行動に体を固くした勝見君の体から、ふうっと力が抜けていくのが胸の動きでわかった。
勝見君は私の頭を抱えるように抱きしめて、髪の毛をさらさらと、上手に梳いていく。

「文化祭、一緒に行ってくれる?」

勝見君は甘えるような声で、もう一度私を誘う。
その声が耳に心地いい。
甘えてくれる勝見君も、なかなかいい。
勝見君に甘えられるのも、悪くない。

「うん、行く」

私からも甘えた声が出た。